“ディスレクシア”という言葉を聞いたことがありますか?
ディスレクシアとは、文字の読み書きが困難な人のことです。 どのように困難なのかは人によって様々です。現在、日本ではディスレクシアの子どもは全学童の4~5%と言われていますが、厳密な実態調査を行えばさらに多く見つかると考えられています。この子どもたちは、活字印刷物を読むことがとても困難です。 本を読むことが困難な子が、クラスに1人~数人いるということなのです。
子どもにとって、本が読めないということはどういうことでしょうか。
- 教科書が読めない。黒板に書いてあることがわからない。→学力が低下する。
- 流行の本、マンガ、ゲームの攻略本等が読めない。→友人たちの輪に入っていけない。
他の子どもたちと同じように教育を受けることができず、自信の喪失、コミュニケーション 力(りょく)の低下によって不登校になる子も少なくありません。
日本において、ディスレクシアは社会的にほとんど認知されておらず、彼らへの情報保障は法的にまったく整備されていない状態です。ですが、活字が読めない彼らも、音の情報なら理解しやすいのです。
私たちは、当が所蔵する録音図書がディスレクシアの子どもたちに有効ではないかと考えており、今後は、教育機関等と連携して録音図書を必要としている子どもたちに支援の輪を広げていきたいと考えています。
現在、当センターでは、 『マルチメディアデイジー』の製作に力を入れています。私たちが長年に渡って培ってきた、点字、拡大、録音製作の技術。この財産はディスレクシアの子どもたちのために役立てることができます。
『マルチメディアデイジー』は、音の情報と文字の情報を、フレーズ単位で同時に提供することができるため、 音だけの情報よりも理解しやすく、ディスレクシアに有効だと言われています。新しい試みですので、製作体制も一から構築しなければなりません。職員も手探りで進んで行きます。
新分野の開拓にご理解とご協力をいただきますよう、お願いいたします。