視覚障害者等の人々も読める電子書籍の出版に向けた、EPUBコンテンツのアクセシブル化に関する研究

 当館では今年度、一般社団法人 授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)様の助成をいただき、EPUBコンテンツのアクセシブル化に関する研究に取り組んでいます。

 「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)」に定められた「障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会」の実現には、視覚障害者等が健常者と同じタイミングで、同じ情報を入手できる環境を整える必要があります。
 当館では、日本デイジーコンソーシアムと協働して、インクルーシブな出版を促進する事業に着手しました。

 インクルーシブな出版とは、出版社自身がアクセシブルな電子書籍(合成音声による文字の読み上げ、文字の色・大きさの変更が可能な電子書籍)を発行し、障害者にも健常者にも同じ電子書籍を同じタイミングで提供する出版形態のことです。
 障害の有無にかかわらず誰もが読むことのできる電子書籍の発行は、読書にニーズがある人々の“読む権利”と“買う権利”の保障の一助となるとともに、著作権者には、これまで本を読むことができなかった人々を含む広い範囲の読者を獲得する機会をもたらし、出版社には、新たな顧客を獲得する機会をもたらします。

 インクルーシブな出版の条件として
・コンテンツがアクセシブルであること(テキストの音声読み上げ、フォントの拡大、図表等の説明がAltテキストで保障されていること、等)。
・DRM(コンテンツの利用や複製を制限する仕組み)がアクセシブルであること:特定のリーダー以外でも読める。
・流通サイト(電子書店、及び電子図書館)がアクセシブルであること。
などが挙げられます。

 今年度は、出版社が発行するEPUBフォーマットの電子書籍(以下、「EPUB書籍」)のアクセシブル化に向けて、以下の2つを行います。
①EPUB書籍のアクセシブル化に必要なツール類の改良と日本語化
 国際デイジーコンソーシアムが提供している、EPUB3.3、EPUB Accessibility1.1の検証に必要なツールを日本国内向けに改良し、メニュー類を日本語翻訳
②EPUB書籍のアクセシブル化マニュアルの作成
 EPUB書籍のアクセシブル化に必要なツール類のインストール・使用方法、編集手順などのマニュアルをウェブ版とEPUB版で作成

 年度内に、これらツール類とマニュアルを紹介するシンポジウムを開催する予定です。

【本事業にご協力いただける出版社様を募集中】
 改良したツール類の検証にご協力いただける出版社を募集しています。
アクセシブルなEPUB書籍の発行にご興味のある出版社の方は、ぜひご連絡ください。
メール info@iccb.jp
日本ライトハウス情報文化センター 担当:久保田、数又

 

本事業は、一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)の共通目的基金の助成を受け実施されています。

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