『目次』へ戻る
『3章 エラーの修正』へ戻る
『参考ウェブサイト』へ進む
この章の見出し
1.求められるアクセシビリティ
2.視覚的資料の情報保障
1.求められるアクセシビリティ
視覚障害者等、読書にニーズがある方々が電子書籍を利用する際、求められるアクセシビリティは3つあります。
①コンテンツがアクセシブルであること。
・情報の過不足なくTTSで読み上げる(必要な情報のすべてを音声で確認できる)。
・図、表、写真、グラフ等の視覚的資料が適切な箇所に配置されており、適切な説明がAltテキスト等で保障されている。
・文字の大きさや色を変更できる。
・見出し、ページ、ブックマークの移動が可能で、文字や注釈などが検索できる。
②DRM(著作権保護と閲覧期限の設定)がアクセシブルで、視覚障害者等が、普段から使用している自身の電子書籍再生機器・アプリで読むことができること。
③流通サイト(電子書店、電子図書館)、コンテンツがウェブアクセシビリティ(JIS X 8341-3:2016)に準拠していること。
視覚障害者等の方々は、電子書籍を、目で読んだり、音声で聞いたり、点字ディスプレイに表示させて触読したりして利用します。アクセシブルな電子書籍として提供するためには、コンテンツのアクセシビリティだけでなく、ユーザーが持っている再生機器・アプリでの利用が可能であることや、流通サイトのコンテンツ入手に至るすべての経路がアクセシブルであることも求められます。
2.視覚的資料の情報保障
コンテンツのアクセシビリティの1つに、図表等の視覚的資料の情報保障があります。電子書籍をTTSの音声のみで利用する視覚障害者にとっては、特に重要な情報保障であり、EPUBアクセシビリティでも画像のAltテキスト(代替テキスト)として説明を入れることが定められています。
TTS技術は日々進化しており、文字を即時に音声変換できる便利なツールとして大いに活用されるべきですが、文意的におかしな箇所で区切って読んだり、続けなくてはいけないところを区切って読んだり、誤読をしたりします。TTSで読書をする視覚障害者は、常にTTSの読み上げの不備を頭の中で修正・補完しながら聞いている状態にあります。「TTSとはこういうもの」と割り切って使っていても、負荷であることに違いありません。
以下のような配慮をすると、より分かりやすい電子書籍になります。
・本文の適切な場所に視覚的資料を挟み込む。
・本文と視覚的資料の境が音声で分かるようにする。
(例:視覚的資料の見出しは冒頭に「図」「写真」「表」など資料を示す文言を付け、Altテキストの説明は「図、終わり」「写真、終わり」「表、終わり」などの文言で終わる)
・補足説明の要否は、本文や視覚的資料のキャプションをきちんと読んだ上で判断する。
・補足説明は、まず資料の概略(何を表した資料か)を説明し、次に詳細を説明する。冗長な説明を避け、誰もが知っている一般的な言葉で、ポイントを掴んだ説明になるよう心掛ける。
この他、「エース」ではエラーとして表示されませんが、単語内の字間にスペースを入れない配慮も必要です。
例えば、「目次」を「目 次」、「凡例」を「凡 例」、「弥生」を「弥 生」など、見た目を良くするために単語の中にスペースを入れると、TTSが単語として認識せず、正しく読みません。
また、デザインの為に記号類を多用した紙の本のレイアウトは、そのまま電子書籍に用いると、TTSでの読み上げが煩わいものになるだけでなく、フォントの大きさを変えた際に行の途中で折り返してしまい、見た目のレイアウトが崩れる原因にもなります。
(例)
「第一章 みちのく・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
第二章 万葉の旅路・・・・・・・・・・・・・・・・15」
「◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆」
このようなレイアウトの場合は、記号の数を減らしたり、全角スペースや空行に置き換えたりするなど、適切な対策をしてください。