3章 エラーの修正

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この章の見出し
1.エラーの確認と修正
2.「エース」で検出されるエラーの例

1.エラーの確認と修正

 「エース」はEPUBアクセシビリティのエラー箇所と修正点を確認するだけのツールなので、EPUBデータの修正にはEPUBエディタが必要です。また、修正後の動作確認用に、EPUB再生アプリも必要です。
 本マニュアルでは、EPUBエディタとして「Sigil」、EPUB再生アプリとして「トリウムリーダー」を使用しますが、他のアプリを使用しても構いません。

(1)「エース」でエラーを確認する

①「エース」の『問題点』タブを開き、『詳細』欄でエラーを確認する。
「エース」の『問題点』タブを開いた画面。エラーが並んでいる。

② どのように修正すれば良いかを確認したい場合は、「詳細を学ぶ:・・・」のリンクをクリックして「アクセシブル出版ナレッジベース」を立ち上げる。
「アクセシブル出版ナレッジベース」の画面

③ さらに確認したいプロパティをクリックする。
「AccessMode」を選択している画面

※『コピー』ボタンをクリックすると、その例のコードをコピーすることができます。
例1の「コピー」ボタンをクリックした画面

④ 「エース」の『位置』欄で、エラーが出ているファイル名を確認する。
『位置』の欄にopfファイルが表示されている画面

(2)「Sigil」でEPUBデータを修正する

① 修正するEPUBデータを「Sigil」で開く。
EPUBデータを開いた「Sigil」の画面

② 『ブックブラウザー』で修正するファイルを選択する。
opfファイルを選択している画面

③ コピーしたコードを、適切な場所に挿入する。
opfファイル内にメタデータをコピー・貼り付けしている画面

④「Sigil」の『ファイル』メニュー → 『保存』をクリックして上書き保存する。
『保存』メニューを選択している画面

(3)再度「エース」でチェックする

① 修正したEPUBデータを「エース」でチェックする。
「エース」で修正後のEPUBデータを選択している画面

② エラーの数が減っていることを確認する。
再チェック後のレポートの画面。EPUBのエラー数が4から3に減っている。

③「エース」、「アクセシブル出版ナレッジベース」、「Sigil」を切り替えながら、上記、(1)~(3)の作業を繰り返す。
「エース」、「アクセシブル出版ナレッジベース」、「Sigil」を起動している画面

※「Sigil」でエラーの該当箇所を見つけられない時は、「エース」の『位置』欄に記載されている本文の文字情報を元に「Sigil」で文字検索をすると、見つけやすくなります。
『位置』欄にエラーの箇所のソースコードが表示されており、「3ページ」という文字列が見える。

④ エラーをすべて修正すると、「エース」で「問題点は報告されていません。」と表示される。
「エース」のレポートで「問題点は報告されていません。」と表示されている。

(4)「トリウムリーダー」で動作を確認する

①「トリウムリーダー」を起動する。
「トリウムリーダー」のデスクトップアイコン

② 修正前に開いたEPUBデータが本棚にある場合は、削除する。
「トリウムリーダー」の本棚で、図書の削除作業を行っている画面
※図書の参照ボタン[…]をクリックし、「削除」を選択します。

③ 修正後のEPUBデータを開く。
「トリウムリーダー」で修正後のEPUBデータを開く操作をしている画面

④ 動作確認をする。
再生している画面

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2.「エース」で検出されるエラーの例

(1)metadata(メタデータ)

 書誌情報に関する情報を修正します。Opfファイル内に必要な情報が記載されていない場合は、「Sigil」などのEPUBエディタで追記します。

①「metadata-accessmode」
「エース」のエラー画面
(例)EPUBデータにテキストと画像が含まれている場合は、Opfファイル内に以下の情報を追記する。
 <meta property=”schema:accessMode”>textual</meta>
 <meta property=”schema:accessMode”>visual</meta>
「Sigil」にソースコードを追記した画面

②「metadata-accessibilityfeature」
「エース」のエラー画面
(例)図、表、写真等の視覚的資料に代替テキストやキャプションが提供されている場合、Opfファイル内に以下の情報を追記する。
 <meta property=”schema:accessibilityFeature”>captions</meta>
 <meta property=”schema:accessibilityFeature”>alternativeText</meta>
「Sigil」にソースコードを追記した画面

③「metadata-accessmodesufficient」
「エース」のエラー画面
(例)テキストと画像を含むEPUBの場合は、テキストモードと視覚モードの両方について、Opfファイル内に以下の情報を追記する。
 <meta property=”schema:accessModeSufficient”>textual,visual</meta>
テキストのみの場合は、
 <meta property=”schema:accessModeSufficient”>textual</meta>
「Sigil」にソースコードを追記した画面

④「metadata-accessibilityhazard」
「エース」のエラー画面
(例)一部のユーザーにとって生理的に危険な閃光(flasing)などの有無についてOpfファイル内に情報を追記する。
閃光有り:
 <meta property=”schema:accessibilityHazard”>flashing</meta>
閃光の危険性無し:
 <meta property=”schema:accessibilityHazard”>noFlashingHazard</meta>
アクセシビリティ上の危険無し:
 <meta property=”schema:accessibilityHazard”>none</meta>
閃光の他に、「motionSimulation」(動き)、「sound」(音)に関する記述、あるいは「unknown」(不明)などもある。
「Sigil」にソースコードを追記した画面

⑤「epub-pagesource」
https://www.lighthouse.or.jp/iccb/wp-content/uploads/images/m_001.png「エース」のエラー画面
(例)改ページのあるEPUBは、ページ区切りのソース(出所)となる原本のISBNをOpfファイル内に記載。
 <meta property=”pageBreakSource”>urn:isbn:9781234567891</meta>
「Sigil」にソースコードを追記した画面

(2)ARIA role(エリアロール)

 ARIAとは、Accessible Rich Internet Applicationsの略で、ウェブコンテンツをアクセシブルにするためHTMLを補完します。EPUBアクセシビリティにも採用されています。

① 改ページに関するARIA role(epub-type-has-matching-role)
「エース」のエラー画面
(例)<span id=”t0000009″ epub:type=”pagebreak” class=”normal”>3ページ</span>に、改ページを示す情報「role=”doc-pagebreak”」を、該当のXHTMLファイル内のタグに記載。
 <span id=”t0000009″ role=”doc-pagebreak” epub:type=”pagebreak” class=”normal”>3ページ</span>
「Sigil」にソースコードを追記した画面

② ページリストに関するARIA role(epub-type-has-matching-role)
「エース」のエラー画面
(例)ページを示す情報「role=”doc-pagelist”」を、navigation.xhtml内のepub-typeタグに追記。
 <nav epub:type=”page-list” role=”doc-pagelist” >
「Sigil」にソースコードを追記した画面

③ ランドマークに関するARIA role(landmark-unique)
「エース」のエラー画面
(例)navigation.xhtml内の<title>にEPUBのタイトルを記述。
 <title>●●●</title>
「Sigil」にソースコードを追記した画面

(3)その他

① リンク(link-in-text-block)
「エース」のエラー画面
 リンクが分かりやすく本文と区別できるように、リンクのタグの中に、リンク先のURLや代替テキストを記述したり、太字・下線など、視覚的に区別できるようにします。
(例)リンク先のURLのみ<a>タグ内に<a href=”#…”>という形式で記述。
 <p>For more information, refer to <a href=”#…”>Section 1.1 of Web Publications</a></p>

② 画像の代替テキスト(image-alt)
「エース」のエラー画面
 画像の内容が原本のキャプションで説明されていない場合は、画像のalt属性に代替テキストを記入します。
(例)画像の<img>タグ内に「alt=”●●● “」を記述。
 <img src=”../images/001.jpg” alt=”●●●” style=”width: 500px; height: 348px;” />
「Sigil」にソースコードを追記した画面

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