日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2024年8・9月号   <<表紙イラスト>> 女性と男性が机でそうめんを食べています。机の中央には薬味の小皿が置かれています。垂れ耳の犬が顎を机の上に乗せて、舌を出しています。背後に扇風機や金魚の柄の団扇が置かれており、窓には風鈴がかけられています。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●利用者の頁(2頁)   ●センターの頁(3〜4頁)   ●感謝報告(5〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆専門講習会「テキストデータ作成コース」開催  毎日新聞大阪社会事業団との共催で開催する書籍等のテキスト化の講習会です。OCRソフトを使用し、誤字・脱字のないテキストデータを作成する技術を習得します。  日時 @9月18日(水)13〜16時、25日(水)12〜16時、A10月18日(金)13〜16時、25日(金)12〜16時(@とAは同じ内容)  受講料 1,200円  定員 各回10人  講師 数又幸市(当館製作部長)  対象 日常的にWindowsパソコンを使用し、マウスでの操作や、ファイル管理ができる方。  申込 当館HPから要項・申込書をダウンロードし、8月20日(火)必着でお申込みください。  問合せ 当館電子書籍係(電話06-6441-1035)  ◆専門点訳講習会「はじめての理数系教材点訳コース」シンポジウム開催  当事者・ボランティア・支援者それぞれの経験談を元に、理数系点字教材の在り方について考えるシンポジウムです。理数系点字教材に関心のある方は、どなたでもご参加いただけます。  日時 9月14日(土)13時〜15時  登壇者 澤田祐子氏(当館点訳ボランティア)、花房朋樹(はなふさ ともき)氏(点字情報技術センター職員)、他  受講料 無料  定員 会場40人、オンライン(Zoom)20人  申込 当館点字製作係(電話06-6441-1028)へ実施要項をご請求の上、8月30日(金)必着でお申込みください。  ◆友の会の施設見学会を11月に開催  例年おこなっているボランティア友の会世話人会の施設見学会を今年度も11月に開催。今年は大阪市立阿倍野防災センター「あべのタスカル」を見学します。詳細は次号に掲載予定です。  ◆「灯友会(とうゆうかい)」バザールが9月6、7日に開催  今年も、日本ライトハウス後援会「灯友会」のチャリティバザーが、当館で開催されます。新鮮な野菜や特産品など、掘り出し物が多数。  収益金は、盲導犬育成事業の支援金として当法人に寄附されますので、ご来館のついでにぜひ、お立ち寄りください。  日時 9月6日(金)12時〜16時30分、7日(土)10時〜14時  ※7日は品物が売り切れ次第終了。  場所 当館4階会議室  販売 昆布・鰹節などの乾物、野菜、パン、クッキー、ハンドソープ等  ◆8〜9月の休館・休室について  8日(木)=サービス部休室(書庫・在庫整理日)  10日(土)〜15日(木)=全館休館(夏期休館) サービス部は16日(金)まで休室。  22日(木)午後12時以降=全館休館(職員全体会) 【9月】  14日(土)=6階・7階・電子書籍係は休室(敬老の日の振替)。※点字製作係は開室。  21日(土)=製作部休室(22日の祝日の振替)  サービス部休室=12日(木)・17日(火)・24日(火)  ※本号は合併号。次号の発行は10月1日です。    <<利用者の頁>>(2頁)   ●「ほんま、人より 目が悪いだけの大阪のおっさんなんで」   利用者インタビュー@ 日本松 啓二(にほんまつ けいじ)さん  JRPS(日本網膜色素変性症協会)大阪の代表を務め、さまざまな視覚障害関係の会に所属している日本松 さん。さばけた性格と飄々とした雰囲気で、障害の有無に関わらず、たくさんの人たちと交流しています。そんな 日本松さんの半生を伺いました。(館長 久保田 文(あや))  ◆やんちゃな悪ガキからスポーツ少年に  生まれたんは大阪の玉造です。子どもの頃は、自分で言うのもなんやけど、近所で誰かが泣いたら全部俺のせいみたいな(笑)。泣き声が聞こえたら、「おら〜啓二、お前か〜 !」「違う〜 !」って。学校から帰ったら玄関にランドセル放り投げてすぐ遊びにいく。小学校の時は親にも先生にもどつかれたし、家にも来られたし。でも体育と歌うんだけは、なんかよかったです。体育は皆の前で見本してましたね。  中学の時に、バドミントンを始めました。練習は厳しかったですけど、そこでコロッと変わったかな、性格が。真面目にスポーツやりだしたからね。大阪大会でメダルも取りました。  高校は、近所の工業高校に行きました。免許取ってオートバイばっかりいじってましたね。設備工業科っていう、当時、近畿ではそこにしかない珍しい学科で、建物のエアコンとか水回りとか電気周り以外の全般を学んで、建設関係の会社に就職しました。  ◆ビル管理のプロとして定年まで勤務  就職してから、バドミントンの社会人チームに入ってキャプテンもやってたんですけど、やっぱりこの目がね、悪かったんでしょうね。「なんでこんなにシャトル見えへんのやろな、動体視力が悪いんか?」と思ったのが32歳頃。  仕事で図面見るのもちょっとぼやけてきて、現場監督やのに怪我したらシャレにならんので、42歳の時、会社に言わんと身障者手帳を申請したんです。そしたらいきなり2級でね。  ネットでJRPSを知って、入会して情報をもらうと、「使える福祉制度がいろいろあるじゃないか !」って。  会社では、拡大読書器を入れてもらって、最初はそれで仕事ができてたけど、やっぱり見えなくなってくるじゃないですか。そしたら部署を変えてもらったり、音声パソコンを入れてもらったりね。こっちから「こうしたらこういうことができます」って言ったら、それなりの配慮をしてくれました。最初は現場の施工管理だったんですけど、目が悪いのが分かってから、ビルの点検とか警備をやってる維持管理部門に。その後は総務に移って、環境サービス部にも行って、それから維持管理に戻りましたね。この3月末に65歳で定年。今はサンデー毎日(笑) (写真=笑顔で「この字のニホンマツは少ないんです」と語る日本松 さん。)  ◆趣味も、仲間との活動も  タンデム自転車を始めました。風を切ったら気持ちいいじゃないですか、「体を動かしてるぞ」って感じで。島根や静岡も走ったし、今度、タイに走りに行きます。  JRPS大阪は代表になって12年目です。ぼちぼち誰かに代わってもらわなあかん。高齢化で、かつ若い子が入ってこないので、僕が入った時は300人以上いたけど、今は200人ちょっと。  情報文化センターでは、グッズサロンで白杖作ったり、体重計を買ったり、いろいろ使わしてもらってます。本は、プレクストークを持っているんで、サピエでダウンロードして読んだりしてます。点字は習い始めた頃にコロナ禍になってね、オンライン講習になったんだけど、ネットがうまく繋がらなくて、1回やめたりするとついていけなくなったりで。まぁ数字はわかるから、それだけでもえぇか!みたいな。  最後に余談ですけど、多分ね、目が悪くならなかったら、今頃、病気になって死んどんちゃうかって。見えてたら結構イケイケでやんちゃしてたほうやから、それが抑えられたんちゃうんかなって、たまに思います。まぁ、今この歳になってですけど(笑)。人よりちょっと目が悪いからどんくさいけど、他は変われへんのでね。 (写真=日本松 さんと久保田館長のインタビュー時の様子。向かい合って隣に座っている。)  ──時に爆笑し、時にしんみりしながら、あっと言う間に時間が過ぎました。  日本松 さん、ありがとうございました。    <<センターの頁>>(3〜4頁)   ●点字と共に生きる私〜入職のご挨拶  製作部点字製作係 川嶋健太  皆様、はじめまして。6月16日付けで点字製作係に勤務することになった川嶋健太と申します。この3月に静岡県の大学を卒業し、就職活動をしておりましたところ、縁あってこちらへ来ることになりました。趣味は津軽三味線と民謡です。どうぞよろしくお願いいたします。  私と点字のかかわりについて少し書いてみたいと思います。  「点字」と聞いてまず思い出すのは、高校1年の時に亡くなった祖父のこと。私が全盲だとわかると、盲学校を訪ねて点字を学び、童話、各地の民話、絵本、小説等たくさんの本を点訳してくれました。点筆(てんぴつ)で一点一点書かれた本は、どんな物よりも温かみがありました。中でも論語の本は今でも手元に置き、人生の糧としております。他にも、ニュースを読むとき、カラオケに行くとき、手紙を書くときなど日々点字を愛用しています。情報入手にも読書にも、点字が欠かせません。私にとって点字は、世の中とつながり、心を動かしてくれる大切な伴侶です。  そんな「点字マニア」の私にとって、この仕事は天職だと思います。優しいボランティアの方々、先輩方に囲まれながら学ぶ毎日は、とても充実しています。これからも、点字使用者であることを強みとして日々精進してまいります。  最後になりましたが、点字図書製作にご協力いただいているボランティアの皆様に、深く感謝申し上げます。引き続きのご指導を、よろしくお願いいたします。   ●当館の事業を支えるボランティア活動@「点訳ボランティア」   〜読みやすい点字図書・雑誌を作り続ける〜  皆さんは、館内のボランティア活動の種類をどれくらいご存知ですか。エレベーターから覗いたことはあるけれど、中でどんなことをしているかはよくわからない……という方も多いのではないでしょうか。当館には、製作・サービス・総務の3つの部署があり、500人を超えるボランティアの方々に支えられて事業を行っています。各部署でのボランティア活動について、順に紹介していきたいと思います。(点字製作係主任 木田陽子)  第1回目のご紹介は、点訳ボランティアです。活動場所は、当館の8階です。  当館はもちろん、全国の点字図書館でも最も歴史のあるボランティア活動で、現在は約120人が、貸出用の図書・雑誌、利用者からプライベート依頼のあった資料、教科書などの製作に携わっています。英語、東洋医学、楽譜、算数・数学、古文などの点訳チームもあり、以前から専門書の点訳が盛んでしたが、最近では漫画などの新しい分野にも取り組んでいます。  ◆点訳図書は、次のような流れで作られます。  @点訳する原本を、職員から受け取る(点訳者の割り振りは職員が行っています)。  A自宅で、パソコン+専用ソフトウェアで点訳。専用ソフトでは、キーボードのF・D・S・J・K・Lの6つのキーを、両手の人差し指・中指・薬指で同時押しする「6点入力」という方式で、点字を1文字ずつ入力します。マウスを使って「点図」(触ってわかる図)も作成します。 (写真=6点入力の様子と専用ソフトの画面。パソコンのキーボードに両手の人差し指・中指・薬指を対応するキーに置いている。パソコンの画面に入力された点字の文章が映し出されている。)  B週に1日、点訳したデータを持って来館し、一般的な墨字のプリンターで墨点字(平面状の黒い点字)として印刷。  C2人1組になって、1人が墨点字を読み上げ、もう1人が原本を確認する「読み合わせ校正」を行います。何組かが同時に行うので、日中の8階はけっこう賑やかです。 (写真=「読み合わせ校正」に使う墨点字と原本。)  D後日、間違いを修正したものを、Cとは違う校正者が、1人で校正します。  E最後に職員がチェックして完成。打ち出し、製本してアルテ別館の書架に並べるほか、データを「サピエ図書館」に登録して、全国の点字・公共図書館、利用者にも提供します。  ◆日本語の点字は、漢字を使わず仮名書するため、読みやすくするため マス 空けをする「分かち書き」という規則があります。点訳ボランティア講習会で、その規則を修得します。  活動中の方に「大変だなあと思うこと」をお尋ねしたところ、答えは圧倒的に「調べもの」でした。確かに、漢字の読みがわからないと点字にできません。ただ、「下調べがきっかけで新しい知識を得た時はとても楽しい」というお声もありました。そのほか、この活動をしていて良かったこととして、「普段自分が読まない本を担当すること」、「点訳した本を利用者に読んでもらえること」、「社会貢献できていると感じること」、などのご意見がありました。  当館製作の児童向け点字雑誌『アミ・ドゥ・ブライユ』を読んで、手書きの点字で感想を送ってくれる子どももたくさんいます。これからも、点訳ボランティアの方々と共に、点字文化と点訳技術を継承していきたいと思います。   ●報告の頁(8頁)  ◆人事異動のお知らせ  当館サービス部機器・用具係の岡本昇(おかもと のぼる)職員が、一身上の都合により7月15日付けで退職しました。岡本職員は、長年、サービス部の「エンジョイ!グッズサロン」で情報機器の購入・相談、サポートに従事しましたが、2011年から6年間、録音製作係の主任として録音図書・雑誌の製作にも携わりました。当館の職員では唯一の盲導犬ユーザーで、3代の盲導犬(初代ヴィオラ、2代目カリム、3代目フィン)と共に盲導犬の啓発・普及にも尽力しました。 【その他の人事】  採用:川嶋健太 6月16日付けで製作部点字製作係に触読校正者として採用  登用:江島英夫 7月1日付けでサービス部機器・用具係 正 職員に登用  ◆「音声版選挙公報製作研修会」に参加  日本盲人福祉委員会の視覚障害者選挙情報支援プロジェクト・音声版部会(当館が事務局を担当)による「音声版選挙公報製作研修会」が5月17日と6月21日に開催され、当館から数又幸市製作部長、白坂マナミ主任(デイジーユニット)らが参加しました。サンプル音源を使った実習では、読みの順序、固有名詞や選挙公報特有の言葉の読み方、表記通りに読むだけでは意味が伝わらない箇所の処理など、気付いたことを一人ずつ発表。音声だけで情報を伝える難しさを改めて感じました。  当館では、毎回、多くの音訳者の方にご協力いただきながら、比例区と複数の選挙区のマスターデータを製作しています。今後も、品質とスピードのバランスを取りながら、全国の視覚障害の方々に、音声版選挙公報を届けて参りますので、引き続きご協力の程、よろしくお願い申し上げます。 あゆみ 【7月】 10日 専門音訳講習会「図表コース」開講 11日 ボランティア友の会「ガイド体験会」  ボランティア世話人会 20日 オープンデー(館内見学日、8人) 予定 【8月】 8日 サービス部休室(在庫・書庫整理日) 10日〜15日 全館夏期休館 16日 サービス部休室 22日午後 全館休館(当法人職員全体会) 24日 専門点訳講習会「はじめての理数系教材点訳コース」開講 【9月】 3日 点訳ボランティア養成講習会(中級)開講 6〜7日 灯友会(当法人後援会)バザー(4階) 7日 オープンデー(館内見学日・要予約) 12日 サービス部休室(在庫・書庫整理日)  ボランティア世話人会 14日 6階・7階・電子書籍休室(敬老の日の振替) 17日 サービス部休室(敬老の日の振替) 18日 音訳ボランティア養成講習会(2)開講 21日 製作部休室(22日の振替) 24日 サービス部休室(22日の振替) 編集後記 足の数が2本未満又は5本以上の生き物がダメな 私。でも半年前に現れたハエ取りグモだけは同居を許しています。2mも離れて消えそうな声で威嚇するうちの猫が面白いので。(文) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2024年8・9月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 久保田 文)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 かたおか朋子  発行日 2024年8月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円