日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2024年10月号   <<表紙イラスト>> ハロウィンのイラストです。 ジャックオランタンを頭にかぶった犬が口に袋をくわえて、眼鏡の男性に骨のおやつを催促しています。 男性は笑って骨のおやつを犬に渡そうとしていますが、後ろでは女性が奇妙な犬の姿に驚いています。    <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●利用者の頁(2頁)   ●ボランティアの頁(3〜4頁)   ●感謝報告(5〜9頁、別ファイル)   ●報告の頁(10頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆友の会施設見学会は「阿倍野防災センター」〜防災について楽しく学びましょう♪  今年のボランティア友の会施設見学会は大阪市立阿倍野防災センター「あべのタスカル」を訪ねます。地震をはじめさまざまな災害時の対応の仕方を体験を交えて学びます。ぜひご参加ください。申込は当館総務係まで。  日時 11月16日(土)14時〜15時(予定)  集合場所 阿倍野防災センター1階(近鉄阿部野橋、または大阪メトロ・JR天王寺から徒歩10分程度)。  点呼の為、13時45分に集合をお願いします。  参加費 無料。  定員 先着30人(ご家族も参加歓迎)。  ◆「日本ライトハウス展2024」をOMMで開催  当館では、12月6日(金)・7日(土)に、西日本最大級の視覚障害者用具・機器展「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2024」(読売 光と愛の事業団共催)を天満橋のOMMビルで開催します。昨年は1,500人を超える来場者があり、視覚障害者、ご家族、福祉関係者などが展示ブースや特別ステージを楽しまれました。  今年は、各種用具・便利グッズ、歩行支援や読書支援のアプリ・機器、触る模型やサピエ図書館など、様々なジャンルの43社・団体が出展します。特別ステージでは、6日は視覚以外の感覚で楽しむマジックショー、iPhoneの便利アプリ紹介、7日はパリ・パラリンピック柔道金メダリストの瀬戸勇次郎氏の講演「パラスポーツの魅力」、デイジー図書の楽しみ方などを開催。視覚支援学校によるあん摩・マッサージ体験コーナーもあります。ぜひ、ご来場ください。  開催日時 12月6日(金)11時〜16時、7日(土)10時〜16時  会場 大阪天満橋OMMビル2階(大阪メトロ谷町線・京阪「天満橋駅」から徒歩3分)  入場無料  ◆10月の休館・休室について  10月10日(第2木曜)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は書庫・在庫整理日で休室。  10月12日(土)=製作部休室(14日月曜指定祝日の振替)。  10月15日(火)=エンジョイ!グッズサロンと図書貸出は休室(14日月曜指定祝日の振替)。    <<ボランティアの頁>>(2頁)   ●白杖を持って一人歩きしている方に声をかけられるように   友の会の「ガイド体験会」に参加して  ボランティア友の会では例年「ガイド体験会」を開催しています。今年は、視覚障害の方への適切な声かけと手の貸し方の基礎を学ぶことに加えて、アイマスクを着用した状態での食事体験を行いました。体験当日の様子を友の会世話人会の平田佳子さん(録音製作係)にご報告いただきました。  7月11日(木)「ガイド体験会」に参加しました。今年は屋外でのガイド体験と食事体験です。参加者は、職員を含め22名でした。  始めにガイドの基本「声のかけ方」「手の貸し方」を林田サービス部長から教えていただきました。この「ガイドの仕方」はYouTubeで公開中とのこと。「ニポラチャンネル ガイド」で皆さんも一度、検索してみてください。  ガイド実習では2人一組になり、手引きする側とされる側に分かれて屋外に出ました。先に私がアイマスクをつけ白杖を持ちました。肥後橋駅改札前から地下通路への階段を下りる、この最初の一歩がとても怖かったです。アイマスクをすると真っ暗でひとりきりになった様な気がして、ガイドさんの腕をぎゅっとつかみました。地下道を通って今度は階段を上り、フェスティバルタワーの地下街まで。点字ブロックを踏んだことを教えてもらいましたが、始めはなかなか感じられません。そしてすぐに下りの階段。白杖で次の段を確かめ、足の裏で階段の角を確かめ、一段一段ゆっくり下りました。地下道は真っすぐ点字ブロックが続いていて少し安心。でもいつもより長く感じました。上りの階段では白杖を次の段に当てて段差を確かめることを教わりましたが、やっぱり不安でガイドさんの腕にぶら下がるように上りました。  帰りは、私がガイド役です。先にガイドを受けたので、声かけは沢山できたと思います。でも障害物があることや階段の始まり終わりを知らせるタイミングが難しく、汗びっしょりのガイド体験となりました。 (写真=肥後橋駅地下の階段で、林田部長のガイドの実演を受ける参加者達。)  館に戻ってからは、アイマスクをつけての食事体験です。何も見えない状態で「紙コップを右手に置きます」などの声かけとともにサンドイッチ、ペットボトル飲料、紙コップなどが配られます。それぞれ置かれたものの位置を聞いて、自分でも手で確かめました。喉が渇いたので、まずペットボトルから水をコップに注ぎましたが、コップのどこまで注げたかがわからないので、ペットボトルから水がドバッと出る感覚にヒヤヒヤしました。こぼさず大惨事にならず良かったです。  サンドイッチは配られた段階で、中身の数や具の種類、外装フィルムの剥がし方の説明がありました。説明を聞いた上で最初にタマゴのサンドイッチを食べたのですが、マヨネーズの味だけが口に残り、もしポテトサラダだといわれたら信じてしまったかもしれません。しかし、事前にガイドしてもらうことで食事がおいしく味わえたと感じました。 (写真=アイマスクを着けて食事体験をする参加者達。おぼつかない手つきでサンドイッチのフィルムを剥がしている。)  今回は体験会ということで積極的に参加できましたが、実際にそういった場面に出会った際に行動に移せるか、不安になりました。ですが、職員の方が、「白杖を持って一人歩きされている方のほうが、慣れないガイドさんにガイドしてもらうことに慣れています。ぜひ進んで声をかけて下さい」と話されました。その通りですね。今回の体験を少しでもいかすことが出来ればと、改めて思いました。    <<センターの頁>>(3〜4頁)   ●先達の言葉に感銘〜講演会「JLA障害者サービス委員会の活動とこれからの障害者サービス」に参加して  日本図書館協会(Japan Library Association:JLA)障害者サービス委員会は、公共図書館、大学図書館、点字図書館等の担当者で構成されている組織で、図書館利用に障害のある人たちに対するサービスを推進する活動を行っています。毎年、国立国会図書館との共催で行われている「障害者サービス担当職員養成講座」は、全国の図書館職員を対象にした3日間の講習会で、私も2021年から、サピエの使い方についての講義を受け持っています。7月27日午後、JLA主催の講演会が大阪市内で開催され、長年にわたりJLAの活動に尽力し、先だって勇退された加藤俊和氏と前田章夫氏の記念講演が行われましたので、ご報告します。(図書・情報係 山岡幸雄)  ◆読書の自由を奪わせないという熱い思い  まず、「視覚障害者情報ネットワーク変遷の40年」について語られたのは元サピエ事務局長の加藤俊和さん。1988年、点字データの共有を目的に始まった「IBMてんやく広場」(サピエの元となるネットワーク)の開設に関わられました。  当初は点字1巻分のデータ送信になんと1時間もかかり、途中で通信が切れてしまうこともしばしばだったとか。そして、問題は技術面のみならず、点字データをインターネット上で配信することは違法ではないか、といった著作権にも及んだそうです。この“公衆送信権の侵害”という声に対し、技術協力を受けていたIBMとの話し合いの中で、最終的に加藤さんは、「もし違法だと指摘があったら、訴訟してもらってください。私たちは受けて立ちます」と決意を持って押し切られたそうです。  後の著作権法の改正と共にこの問題は解決するのですが、誰の手も借りずに、視覚障害者自身が自分で本を探し、本の恩恵を受け取る――“視覚障害者の読書の自由を奪わせない”という、当時の関係者たちの熱い思い、気運の高まりが伝わってくるようなお話でした。  ◆視覚障害学生の教材保障を進めた関西SL  続いて、近畿視覚障害者情報サービス研究協議会(近畿視情協)元副会長の前田章夫さんがお話をされました。  前田さんの資料は、関西の各図書館で、いつ、どのような障害者サービスが開始されたか、その連続性を感じ取ることができる、非常に綿密なものでした。中でも印象に残ったのは、視覚障害学生らが自らの勉学環境の改善を求めた運動をきっかけに発足した「関西スチューデントライブラリー(関西SL)」の歩みです。関西SLメンバーの要望に応え、当館や点訳ボランティア団体が教材のプライベート点訳を行い、視覚障害学生の学びを支えました。関西SLから、当館の元館長の岩井和彦氏ら、多くの図書館関係者が輩出されたという経緯も、大変、感慨深いものがありました。  ◆障害者サービスを進めてきた人の力に感銘  お二人の講演を聞いて一番強く感じたのは、なんと言っても、「サピエ」をはじめ、視覚障害者を支える制度や仕組みが整う前から、サービスを推し進めてきた人の力。  図書館における障害者サービスの歴史を、当時を深く知るお二人の言葉で辿ったことで、まるで自分もそこに居合わせたような、不思議な熱量が胸に残りました。 (写真=シンポジウムで参加者からの質問に熱心に答える前田さんと加藤さん)   ●視覚障害者等の方々に質の高い音声版「選挙公報」を届けたい   当館7Fのデイジーユニットでは、国・自治体・企業からの音声資料の製作受託の他、厚生労働省委託録音図書、夏の青少年読書感想文全国コンクール課題図書、そして「選挙公報」の音声版などを製作しています。今回は、当館が日本盲人福祉委員会の「視覚障害者選挙情報支援プロジェクト」音声版部会の一員として取り組んでいる、国政選挙における選挙公報の音声版製作作業についてご紹介します。(メディア製作センター・デイジーユニット主任 白坂マナミ)  国政選挙には参議院議員選挙と衆議院議員選挙があり、当館は、いずれも比例区1ブロックと、4県の小選挙区・選挙区の「選挙公報」の音声デイジー版とカセットテープ版を製作しています。近年では、地元の施設のカセットテープコピー機が壊れてしまったという自治体からの、テープコピーの依頼も増えています。  ◆国政選挙の作業手順  @投開票日が決まり次第、職員は音訳者への依頼と、小選挙区・選挙区の選挙管理委員会(以下、選管)との打合せを開始します。並行して、資材の在庫確認と購入、製作マニュアルの見直しを行います。  A選挙の作業期間中(約1週間)は、7階のフロアを封鎖して、室内を選挙公報製作に特化したレイアウトに変更し、選挙以外の作業をすべてストップします。  B公示日より前に届いた選挙公報の原稿の読みの確認、選管への問い合わせを行います。  C約10名の音訳者の方にスケジュール調整のうえご来館いただき、公示日の前日から収録を開始します。(※多くの原稿を収録するため、音訳、モニター、校正、読みの相談窓口など、役割を分担し、手順も細かく決めています。)  D選挙公報の校正は、音声の段階で4〜6人、デイジー編集後は2人が携わり、指摘が挙がらなくなるまで徹底的に行います。  Eマスターデータが完成したら、CD・カセットテープにダビングし、すべて検聴作業を行います。  F出荷先と内容物を間違えないよう、複数人でチェックをしながら梱包して発送します。何があっても納期厳守。到着予定日に選管担当者に荷物の到着を確認し、ようやく作業完了です。  音訳・校正ともに、音質や誤読の有無はもちろん、「選挙公報製作マニュアル」(日盲社協情報サービス部会発行)を遵守した読みになっているか、アクセントは適切か等にも注意しながら進めます。また、政治用語や耳慣れない政策名、略語などについて、言葉の切れ目やイントネーションが適切か、音声だけで理解できるように読めているか等も、大事なポイントです。  原稿へのフリガナや読む順番の書き込みは、事前に選管に依頼していますが、実際は問合せが必要な箇所が多く、回答待ちの時間が長いことが度々あります。場合によっては、音訳者に夜遅くまで残っていただくことも……。そのため、選管への問合せには回答期限を設け、その日時までに返事がなければこちらで判断して読ませていただくなど、少しでも時間のロスをなくすための工夫をしています。  選挙公報の製作は、とにかく正確性が求められますが、同時に迅速性も求められます。限られた時間の中で、速く、正しく、全員で集中して作業にあたっています。  毎回、納品後は疲労困憊していますが、これからも視覚障害者等の方々の選挙権保障の一助となれるよう、来る本番に備えしっかり準備したいと思いますので、音訳者・校正者の皆様、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。 (写真=情文7階。レイアウト変更後の、選挙区毎に分けられた1校ゾーンと2校ゾーン。)   ●報告の頁(10頁)  ◆松浦洋子さんが鉄道弘済会地区表彰を受賞  公益財団法人鉄道弘済会の今年度・第54回朗読録音奉仕者・西日本地区表彰式が9月20日、大阪市で開催され、校正の部で当館録音ボランティアの松浦洋子さんが受賞されました。校正歴15年762時間の実績が高く評価されたものです。ご受賞をお祝いするとともに、今後ますますのご活躍をお願いいたします。 (写真=花束を持つ松浦さんと、向かって左隣に先輩ボランティアの金井典子さん、右に数又製作部長と久保田館長)  ◆ボランティアの古谷豊子さん、中川幸子さんが逝去  長年に渡り、献身的に活動してくださったお二人のボランティアが相次いで逝去されました。  古谷豊子さんは1984年から点訳を始め、理科系の教科書点訳や触図の専門講習会など幅広い分野で活躍。後には職員も勤められ、明るく、ウィットに富んだお人柄で館を盛り上げてくださいました。2016年から三重県の施設に入居され、穏やかに暮らしておられましたが、今春発病し、8月18日、病院で亡くなられました。  中川幸子さんは、9月13日に亡くなられました。中川さんは、大学図書館での勤務経験を活かし、1985〜1990年まで読者サービス係(現、図書・情報係)のお手伝いをしてくださり、2013年、ご自身もマヒによる困難を持ちながらも、「視覚障害の方のお役にたちたい」と、パソコンを使ってテキスト化のボランティア活動を再開されました。今年1月に体調不良で引退されるまで、大部の書籍や図表の多い資料など、多くのプライベート製作を手掛けてくださいました。  お二人のご冥福を心よりお祈り申し上げます。  ◆武部はつ子さんのイラスト集出版、原画展も開催  当館の点訳、後に図書貸出ボランティアとして活動するかたわら、34年に亘って本誌の表紙イラストを担当され、2022年12月に逝去された武部はつ子さんのイラスト集『好っきゃねん、手描きが!』が、9月に出版されました。『ワンブック』とはまた違うタッチで描かれた、花と女性、動物がモチーフの美しく緻密なイラストが満載され、武部さんの面影が偲ばれます。編集・発行は御夫君の武部好伸さん。amazon、楽天などのオンラインストアで購入できます。定価1,800円+税。また、この画集の原画展が10月18日(金)〜22日(火)、西区のギャラリー「ART HOUSE」(西区北堀江1-12-16)1階で開催されます。11時オープン、18日は19時まで、22日は17時まで。ぜひご来場ください。 (写真=イラスト集の表紙と中身の抜粋。妖艶な女性と華麗な花々が溢れている。) あゆみ 【8月】 22日 法人職員全体会 24日 専門点訳講習会「はじめての理数系教材点訳コース」開講 【9月】 3日 点訳ボランティア養成講習会(中級)開講 6〜7日 灯友会(当法人後援会)バザー 7日 オープンデー(館内見学日・2人) 12日 ボランティア世話人会 18日 音訳ボランティア養成講習会(2)開講  専門講習会「テキストデータ製作コース」開講 予定 【10月】 5日 わろう座マジックショー 10日 サービス部休室(在庫・書庫整理日) 12日 製作部休室(14日月曜指定祝日の振替) 15日 サービス部休室(14日月曜指定祝日の振替) 19日 オープンデー(館内見学日、要予約) 編集後記 今年の夏のオリ・パラでは、自分の子供程の歳の選手たちを応援しようと張り切っていたのですが、試合開始が就寝時間でした。そして起きた時、まだ試合は続いていました。(文) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2024年10月号  発行 社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター(館長 久保田 文)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015 FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 かたおか朋子  発行日 2024年10月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円