平成28年度文部科学省「音声教材の効率的な製作方法等に関する調査研究」
近年、ICT技術の発達により、障害のある児童生徒がパソコンやタブレットで合成音声を用いて利用するデジタル教材が注目を集めていますが、視覚障害児童生徒に必要とされる視覚的資料の情報は、合成音声だけでは提供できません。視覚障害児童生徒が利用する主な音声教材のフォーマットとしてしては、音声デイジー、マルチメディアデイジー、EPUB3(メディアオーバーレイ)などが考えられますが、どのような音声教材を製作・提供する場合にも共通して求められるのは、特に図、表、グラフ、写真、絵、系統樹等の視覚的資料が、一人ひとりの児童生徒にとって理解できるように適切に読まれているかどうか、また読むスピード、説明に使う用語や表現、間(ま)の取りかたが学年、教科、ニーズに応じたものであるかどうかということです。こうした合理的配慮を加えた音声教材は、合成音声による読み上げだけでは実現しないのはもちろん、肉声による読み上げにおいても教科ごとの専門知識を持ち、視覚的資料を的確に説明できる音訳者が必要です。
「音訳教材データベース」は、教科書ごとに視覚的資料の音訳データを登録することができ、学年、教科、出版社、年度などで検索可能です。(1)日本ライトハウス(データベース管理者)、(2)音訳者、(3)デジタル音声教材製作者、(4)視覚障害児童生徒および担当教員によって、以下のように運用されます。
- 管理者である日本ライトハウスが、各視覚的資料の書誌情報を登録。
- 視覚的資料の音訳技術を有する音訳者が、音訳した音源(以下、音訳データ)を、1の書誌にコンテンツ登録。日本ライトハウスがデータを確認し、公開および自動デイジー化の処理を行う。
※自動デイジー化されたデータには、該当教科書に登録されているすべての視覚的資料が入っており、資料ごとにレベル1で移動することができる。 - マルチメディアデイジー、EPUBなどのデジタル音声教材製作者が音訳データをダウンロードし、自製作の音声教材の視覚的資料に付与して視覚障害児童生徒に提供。
- 視覚障害児童生徒および担当教員が、音訳データを直接ダウンロードして利用。
※視覚的資料ごとにmp3ファイルをダウンロード、または、教科書ごとに自動デイジー化されたデイジーデータをダウンロードする。
「音訳教材データベース」は、事業に参加した専門音訳者、視覚障害児童生徒および担当教員によるモニタリング結果をもとに改良を重ね、平成28年度に開発を完了しました。
2017年3月11日(土)に、事業報告セミナー「視覚障害児童生徒のための音訳教材データベース ~ 今後の活用と専門音訳技術への期待 ~」を開催。モニタリングおよびセミナー参加者のアンケート集計結果は、下記をご参照ください。
- 平成27年度、28年度「音訳教材データベース」モニタリング結果
- セミナー「視覚障害児童生徒のための音訳教材データベース ~ 今後の活用と専門音訳技術への期待 ~」アンケート集計結果 PDF版(238KB) テキスト版(9KB)